岐阜市太郎丸 吉祥寺 住職 志比 道栄
こんにちは。始めにお聞きします。毎日、何を大切にいきていますか。自分の人生でこれが大切というものはおありでしょうか。
今日あなたに、より自分自身を見つめて頂きたいと思いお話をします。
昔、昔、中国の唐の時代に、青原という禅師様が居ました。禅師様の所に一人の修行僧がやって来て、「仏教のさとり」は何かと尋ねたところ、青原様は「おまえの村の米の値段はいくらかね」と返事をされたというお話があります。答えを聞きに行ったつもりが、反対に米の値段を聞かれて、修行僧が困ってしまうこのお話。まるで意味不明ですね。
では、このお話で青原様の言われる「米の値段」は何を指していたのでしょうか。「米の値段」は、その年の作柄に応じて高くなったり安くなったりと変化します。私たちの心も、その時々によって毎日変化しています。
青原様は、この変化する気持ち、日常の生活の中にこそ、大切なお釈迦様の教えを実現する自分があるんだよ。本当の自分自身・生き方があるんだよ。と述べ、何かホカに特別な言葉や文字、すてきな生活が自分のソトにあるのではないか、特別な生き方がホカからやって来るのではないかと答えを求めに来た修行僧や私たちに対し、「米の値段」を例えに、大切なものは自分の中にこそ、あるんだと説明されていたのです。
もう一度伺います。あなたにとって、自分の中にある大切なもの・生き方ってなんですか。
例えば、家族・友人や、優しい気持ち・思いやる精神など様々な想いがあると思いますが、自分に大切なものや想いを持っていること。私は大変に素晴らしいことだと思います。
あなたに、私からこんな心も持ち続けて頂けたらと思います。それは「自分をだまさない」心です。ごまかしで自分自身を納得させない事。自分の心をごまかさない・だまさないで頂きたい。毎日の自分を見つめて、どの様にいきるべきか考えて生きて欲しいと私は願っています。
具体的にどうするのか、その答えは皆さんそれぞれに違うでしょう。答えは一つだけでは有りません。決まったスタイルもありません。でも自分自身で見つけ出さないといけない物です。
お互い大切な自分の心を見失わず、しっかりと捕まえて毎日を過ごして行きましょう。