あたりまえに感謝

岐阜市木造町 勝林寺 住職 等 真一

「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて涼しかりけり」これは曹洞宗を開かれました道元禅師の詠まれた有名な歌であります。あたりまえに移りゆく四季の風景を詠んだ歌でありますが、このあたりまえの季節の移ろいを皆さんは感じておられますか。

今は四月春の訪れを感じる桜の季節です。又、新しい年度に変わりそれぞれが気持ちも新たにお過ごしになって見えることと思います。何かと忙しい毎日ではありますが、季節を感じ周りを見渡せる余裕はありますか。春は咲き誇る花を見て、夏はほととぎすの声を聞き、秋は美しい月を眺め、冬は真っ白な雪と寒さを感じ、春夏秋冬それぞれの季節を感じ、あたりまえに過ぎている時間の流れの中で生かされている自分を感じてみて下さい。

季節の移ろいを詠んだ道元禅師の歌に込められた思いとは、刻々と移ろいゆく時間と変わりゆく世界の中で、生かされている自分を感じ又、自分と周りの世界が決して別々ではなく、一人ひとりが役割を持って存在をしているのであるということをお諭しになられているのではないでしょうか。

「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて涼しかりけり」春夏秋冬それぞれの季節を感じ、あたりまえに過ぎてゆく毎日を、ありがたいと感謝できるようにありたいものです。