「地域で見守る」

関市 小屋名 円通寺 住職 岡田 英賢 老師

ある朝のことです。通学路で子供達とすれ違うと「おはようございます」と大きな声で挨拶をしてくれました。子供達が元気に挨拶をしてくれることに嬉しい気持ちになりました。地域の交通安全委員の方が「◯◯くん、いってらっしゃい」と声をかけてみえました。子供達は、地域の方々に見守られて、共に活動することで、地域の人や、物、行事に興味を持って地域の一員となって成長していきます。

曹洞宗を開かれました道元禅師様は「利行は一法なり普く自他を利するなり」とお示しになりました。利行とは相手に見返りを求めない行いのことでございます。互いに相手のことを思いやる行い、そこには優しい心が育まれます。人に優しくする人は、自分が困った時に必ずたくさんの人が助けてくれます。相手のことを思いやる心は、つまりは自分自身を幸せにしてくれることにもつながります。

子供達が家庭や学校という枠を超えて、さまざまな人たちと交流をし、関わることで、地域の一員としての誇り、地域への愛情が生まれてきます。そして互いに助け合い、認め合うことを学ぶことで、自らを幸せな豊かな人生へと導いていくことにもつながります。この地域への愛情こそ、より良い社会を作る第一歩となるのではないでしょうか。

子供達の素晴らしい未来のために、地域や社会で子供達を見守る。そして、私たち大人がこの「利行」行いを率先して実践できる日々にしていきたいものでございます。