「一番はだあれ?」

岐阜市 本覚寺 住職 時田泰俊 師

人類最初の男性と女性は?という質問を受けたらどう答えますか。多くの方はアダムとイブとお答えになると思いますが、中には日本人だったらイザナギとイザナミだろうとお答えになる方も見えると思います。今日は仏教が生まれた国インドのお話をしたいと思います。

インド神話ではヤマとヤミーが最初の男性と女性とされています。男性がヤマで女性がヤミーです。最初に男性のヤマが亡くなり人類最初の死者となりました。そして冥界への道を発見し天上界を司ったと言われています。

しかし残されたヤミーは最愛の人との死別の悲しみから逃れることが出来ず、悲しみの淵をさまよい歩いていました。

その余りにも落胆した姿を見かねた神様達は、彼女を救うために相談を持ち、その答えとして「夜」をつくりだしたそうです。今までは昼のみの時間が続いていましたが、夜が誕生し一日の観念が生まれ時間の経過がより明確となり徐々に悲しみが薄らいでいったそうです。

「日にち薬」という言葉がございますが、はるか遠い昔からの智慧の伝承かも知れませんね。

因みに、ヤマは後世仏教に取り入れられ、与えられた世界も天上界から離れて、その名前は「閻魔」と呼ばれ現在にいたっています。そして、もし亡くなった場合は三十五日目にその裁きをうけるといわれています。