「現代における諸行無常」 

関市 福田寺 住職 橋本崇典 師

今年も残りあと僅かとなりました。1年過ぎるのは本当に早いですね。

先日今年の新語・流行語大賞が発表され、その中にチャットGPTという言葉がありました。チャットGPTとは人工知能AIを使用した会話型のサービスのことです。人工知能を持ったコンピューターと会話ができます。ここで「崖から落ちそうになった男」の話をします。

とある男が崖から落ちそうになった。死の恐怖に錯乱した彼だが、とっさに観音様に拝んだ。そうすると平穏を取り戻し、通りかかった人たちに助けられた。それ以来彼は観音様を厚く拝むようになった。信仰とは己に向き合い、心の平穏を保つもの。慌てふためき、動揺するときこそ仏様を思い出し穏やかな心で生きましょう。

ふーんなるほどと思った話ですが、これは人工知能AIに法話を作ってと書かせた話です。なんだ人工知能が作った話かと揶揄するところですが、便利な時代になりました。

お釈迦様の教えのひとつに「諸行無常」があります。この世のあらゆる物事は一瞬たりとも停止することなく、常に変化し続けているということを伝えています。また、怠らず努めよとも言われました。今という時間を真摯に受け止め、今すべきことを考え積極的に過ごしましょうと。先ほどの人工知能はこれから欠かせない時代となって行くでしょう。人の働き方が変わり、価値感が変化していく時代に改めて人にしかできないこと、大切にしていくことを考え怠らず努めていくことが重要だと思います。

それでは、よいお年をお迎えください。