「ギブ&ギブ」

関市 圓通寺 住職 岡田英賢 師

本日は「ギブ&ギブ」というお話をしたいと思います。

「ギブ&テイク」は知っていても「ギブ&ギブ」って何?と思われる方もみえるかもしれません。

私たちは日ごろ、“あの人に何かしてあげたから”、“今度は何かお返しをしてもらいたい”といったように相手から見返りを求めてしまったり期待をしてしまったりすることは、少なからず誰にでもあるのではないでしょうか?

先日、ある建築会社の社長さんが、「ご住職ね、仕事というのは人から与えられるのですよ。だから、その人の心を動かさないとダメなんですよね。この人に頼みたいって・・・そう思ってもらえるようにならないといけないんですよ」と話してくださいました。

その社長さんは、いつもどうしたら喜んでもらえるか?お客さんの立場に立って損得よりもその人に合った家つくりを心がけてみえる方でした。

相手からの見返り“テイク”は後回しで、まさに「ギブ&ギブ」を実践される方でした。

私たちは相手から何かをしていただくと「今度は何かこちらからお返しをしなければ」と、そう思うものです。本当に相手のことを思って続けた結果が相手から信頼と、この人に頼みたいと思ってもらえる成功へとつながっていったのです。

曹洞宗を開かれました、道元禅師さまは、

「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」

とお示しになりました。

利行と申しますのは、「見返りを求めない、無条件に相手のためになす行い」のことでございます。

すべての人に、思いやりの心で向き合っていくこと。そして、そこには、相手の気持ちに寄り添っていく心が大切になってきます。家族が支えあい、社会が支えあう。「ギブ&ギブ」とはみなさんのお仕事においても、また、私たちの日常の様々な人間関係を円滑に進めていく一つの術となるのではないでしょうか?

お互いに思いやる心「ギブ&ギブ」の心が世界中に広がりますように。