中津川市 大林寺 住職 村瀬 泰信 師
「鬼は外 福は内」先日私のお寺でも節分の豆まきを致しました。炒った大豆を一升枡に入れて、御本尊様の前で家族そろってお経をあげます。お勤めが終わりますと、まずは大戸を開けて「鬼は外」と第一声、すると家族が「ごもっとも」と唱和いたします。次に「福は内」またまた家族が「ごもっとも」と唱和します。これを繰り返しお寺の中を順番にまわります。少し変わった豆まきですが、師匠の代から続いておりますので「ごもっとも」がないと豆まきをした気になれません。
さて、鬼というと怖い物の代名詞ですね、地獄に鬼がいて悪い人は鬼にいじめられる、閻魔様はいつも見ていて「うそ」をついてもすぐ解るんだよ、と子供の頃に教えられました。私などは、いまだに「うそ」をつくときは、閻魔様に舌を抜かれないよう、口元を手で押さえてしまいます。
ところで、鬼は何処に居るのでしょうか?近年、恐ろしい事件が増えたような気がしかす。9人の男女を殺してしまう人、妹を恨んで刀を振るって殺してしまう人、テロと称して罪の無い人々を巻き添えにして殺す人、どの事件も主人公は人です。人が人を殺し傷つける。本当の鬼は人の中に住んでいるのです。お釈迦様は、むさぼる心「貪」怒りの心「瞋」愚かな心「痴」この三つの貪・瞋・痴こそが、人の心に住む鬼であると説いてみえます。どなたの中にも小さな鬼は居るような気がします、ご自分の中にいる鬼に言ってください。「鬼は外」と精一杯、追い払ってください。自然に穏やかな心「福は内」が戻ってきます。「ごもっとも・ごもっとも」