平成時代最後の漢字「災」に思う

郡上市 楊柳寺 住職 川岸承翁師

平成時代最後の漢字「災」に思う

平成三十年の世相を、一字で表す今年の漢字は、「災」に決まりました。

平成の三十年は、災害の多い年でした。自然現象や人為的原因で、人命や社会生活に被害を及ぼし、多くの人を不幸にする出来事が起こりました。災害には三災があり、火災、水害、

風災をいいますが、大規模火災、集中的な大豪雨、相次ぐ台風、その他に恐るべき地震と、熱中症の怖さをともなった猛暑も味わいました。

日本が、世界が地球が終わりなのかとさえ思いました。

仏教では、一つの世界が誕生し、成長し、寿命を終え次の世界が誕生するまでを、一サイクルとし周期的に起こる宇宙的規模の災害として捉える見方もあります。

何十年に一度の出来事とか、統計上初めての災害だといわれた事もありました。

「災」という言葉を使い、人間生活の希望を表す言葉は多くあります。無病や一病に連なる息災は、災いを消すという意味、除災招福もしかり。

良寛和尚曰く「災難に遭う時節には、災難に遭うがよく候、死ぬ時節には死ぬがよく候、是はこれ災難をのがるる妙法にて候」と、これは、天災人災に対する人の対応の妙を教えています。

災害に遭ったらひとまず受け入れよ、考え方や生き方を後から飛躍につながるよう、人生の向上の為に努力することが肝要なのである。自分の道は自分で開け、自然災害は防ぐ事は出来ない。因果関係によって作り出されたものは、全て無常であると仏教では教えられています。