土岐市 荘厳寺徒弟 軽部竜世師
道元禅師の著された正法眼蔵の中に「菩提薩四摂法(ぼだいさったししょうぼう)」というものがあります。
正法眼蔵の内容は、そのほとんどが修行僧に向けられたものですが、
この「菩提薩四摂法(ぼだいさったししょうぼう)」は一般の信者さんのために
書かれているものだと考えられております。
「菩提薩四摂法(ぼだいさったししょうぼう)」には観 世 音菩薩や地蔵菩薩などが、
人々を様々な苦しみから救済するための行いである「布施・愛語・利 行・同事」の四つが
記されておりまして、私たち仏教徒が日常で行う修行であり、生き方でもあります。
その第一に記されている布施とは、幸せを一人占めせず、精神的にも物質的にも広くすべてに施しを与え、そして与えられていることを感謝して生きることです。
第二の愛語は、慈悲・慈愛の心をもって、愛情豊かで親切な言葉を語りかけることです。
そうした優しく思いやりのある言葉の一言一言すべてが人々の心を和ませます。
愛語は社会を正しい方向へ動かす大きな力となります。
第三の利行というものは見返りをもとめない行いであります、
自分がいい思いをする事ばかりを考えず、他の幸福のためにも良い行いをすることです。
第四の同事というのは、自分を抑え、相手と同じ心・境遇を自分自身に写して、相手と接することです。
もし、あなた自身に精神的に、物質的に余裕がある時に、苦しんでいる人と出会ったなら
この「四摂法」の布施、愛語、利行、同時を思い出して、少しだけでも実践してみましょう。
相手がそれで少しでも幸せに向かえたなら、あなた自身もまた、幸せに喜ぶ相手を見て
幸せに思うことでしょう
そうして相手がいつか余裕のある人間となったなら、あなたの行いを思い出して、他の人にも実践していくかもしれまん。
あなたの小さな始まりが多くの人の幸せにつながるのかもしれません