垂井町 即現寺 住職 神野元秀 師
新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから約3年半が経ちました。様々な行動などが制限され、以前とは日常生活も大きく変わりました。日本では、5月から新型コロナウイルスは5類に引き下げられ、少しずつ以前のような生活が戻りつつありますが、コロナ禍によって、以前とは変わったことも多く、日常生活の中で悩みやストレスを抱えている方も多いと思います。私自身、うまくいかずにイライラしたり慌ててしまうことも多くあります。そんな時には、一度、ゆっくりと深呼吸してみてください。
道元禅師は坐禅の指導書である「普勧坐禅儀」のなかで「鼻息微かに通じ、身相既に調えて、欠気一息し」と記されております。欠気一息とは身体の中の空気をゆっくりとすべて吐き出すことです。坐禅の心得として身を調える「調身」、息を調える「調息」、心を調える「調心」があります。この「調身」、「調息」、「調心」の三つは相互にかかわりあっています。つまり、自分の姿勢に気を配り、呼吸を調えることで、自然と心も調ってくるのです。これは日常生活にも生かすことができると思います。一度立ち止まり、ゆっくりと息を吸ってゆっくりと息を吐く。こうすることで心が落ち着いていきます。忙しい日常生活の中、少しだけ立ち止まって、深呼吸をして心を落ち着けてみてはいかかでしょうか。