「この時に遭ってこそ禅定~心を静めよう~」

曹洞宗岐阜県宗務所 所長 小島尚寛 師

新年あけましておめでとうございます。皆様の益々のご健勝をお慶び申し上げます。

日頃より、このテレホン法話をご拝聴いただき御礼申し上げます。

昨年をもって、宗務所長を退任する予定でございましたが、引き続きもう一期4年お務めさせて頂くこととなりました。今後ともご愛顧下さいますようお願いいたします。

昨年の暮れ、境内墓地の清掃をしている折、参詣者の方のお墓参り、墓石を洗い清め、生花を供え、線香を焚き、手を合わせる。ごくごく自然のお姿、しかしその時に漂う香の香りに、いつもと違う、こころ静まる時を得たような感がいたしました。

新型コロナ感染症による月日は3年が過ぎ、制限による閉塞感に苛まれ、知らず知らずに心の痛みを覚え、不安の中に生活しています。

六波羅蜜という教えに布施(与えること)、持戒(戒律を守ること)、忍辱(苦悩に耐え忍ぶこと)、精進(真実の道をたゆまず実践すること)、禅定(精神を統一し安定させること)、智慧(真実の智慧を得ること)、の六つの徳行があります。

こんな時であるからこそ、この六つの教えの一つ「禅定」ほんの一時であれ、心静かに落ち着く時間が必要ではないかと思われます。

積土成山、ひとつひとつの積み重ねがやがて大きな山となる。皆様の喩え小さくとも、そして僅かであれ、心に安らぎの時を求め、行い続けることがやがて自身の徳となり、明るい社会の未来に繋がる礎となることでありましょう。

そして新しき年に一歩を踏み出し、共に精進してまいりましょう。合掌。