「人のふり見て我が振り直せ」

加茂郡 廣通寺 住職 尾関大介 師

先日、法事のため名古屋の高速道路を走っていたときのことです。私の右側の車線に猛スピードで白い乗用車が走りこんできました。その車の前にはトラックがいたため私の車のほぼ真横から突然左に車線変更をしてきました。左、つまり私の車がいる所です。慌ててブレーキを踏んで前に入れてあげました。それを気にした様子も無く、その車は更に前の軽自動車を煽りながらスピードを上げさせ、いわゆる名古屋走りをしながら走り去っていきました。

この時、実は少々面白い事に気がつきました。この煽り運転をしていた車なのですが、私の車のすぐ前に割り込んできたので、車の背面がよく見えました。そこには沢山のステッカーが貼ってあい、例えば「ドライブレコーダーで撮影しています」とか、「煽り運転反対!」とか、「専属の弁護士がいます」とか、そんな内容のステッカーがベタベタと貼ってありました。

この方は恐らく、自分自身こそが煽り運転の被害をよく受けていると思っているのではないでしょうか。しかし現実は皆さんもお気づきの通り、自分が煽った結果煽り返されているだけなのだと思います。

人のフリ見て我がフリ直せと申しますように、自分の事というのは実は案外分かりにくい物です。普段の生活の中で家族や友達、仕事相手にイライラしてしまった時、それは逆にチャンスだと考えてみて下さい。背筋を伸ばして深呼吸を二、三回、それだけで少し心が落ち着きます。そして自分がそんな感情に至った時のこと、そして自分自身の事をよく考えてみて下さい。思わぬ気づきがあるかもしれません。