可児市 天龍寺 住職 太田 恒次
日頃、仕事場など人が集まる場所では、考え方の違いなどから、○○さんと一緒にしてほしい、○○さんとはやめてほしい。と思うことは誰にでもあることだと思います。
しかし、本来、どなたとでも仲良く信頼し合い生活することができれば、大変すばらしい事でありますね。
そこで今回、私たちが修行する際、僧堂で生活をする時の教えの一つを紹介したいと思います。
道元禅師様が「重雲堂式」という僧堂内での規則の中で、「乳水和合」という言葉を使い、大勢で寝食を共にする集団生活のあり方を教えています。
乳とは牛乳のこと、水はみずのことです。和合とは混ぜ合わせるという意味であり、人間関係でいえば、仲良く親しみ合うということです。
牛乳と水は互いに違った液体であっても一つの容器に入れるとケンカすることなく、すっと自然に混ざり合います。これに例えて、修行僧に対し、お互いが会い難いご縁によって一緒に修行する身になったのですから、いがみ合うことなく互いに協力し、研鑽を深め合うという教えであります。
私たちも日頃から乳と水のような素晴らしい人間関係が築けるようになれるといいですね。
いつか困った時は、「乳水和合」という言葉もあるんだと思い出してみてくださいね。
決して水と油の関係にはならいないようにお願いしまして、話しを終わらせていただきます。