新年のご挨拶

曹洞宗岐阜県宗務所 所長 時田 泰俊

新年あけましておめでとうございます。初詣はお済になりましたか?諸仏諸菩薩に八百万の神々のもと、多くの願い事がなされていると思います。

お寺の近くに一体の小さなお地蔵さまが祭られています。初詣に向かう方々が気づくことなくその前を足早に通り過ぎて行きます。柔和な笑顔のお地蔵さまは通り過ぎる人々に「足元に気を付けなさいよ」と優しく声をかけているようです。

今日はこのお地蔵さまについてお話をいたします。お地蔵さまは代受苦の佛とも呼ばれています。代受苦とは、私どもの代わりに苦を受け止めていただくという意味になります。昔話の笠地蔵のように6体並んで祭られていることも多く、これは仏教の説く輪廻を繰り返す六つの世界、天上界・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄、それぞれの世界において私たちを救い導いて頂けることを表しています。

今から二千五百年程前、お釈迦様は坐禅によりお悟りをひらかれ仏様となられました。そして次に私どもの前に仏様として現れるのが、現在天上界で修行中の弥勒菩薩沙汰といわれていますが、そのときは五十六億七千万年後というあまりにはるかな時の流れの先となります。この長き間、私たちを救い導いてくれる大切なお役目を負っているのがお地蔵さまです。

延命地蔵菩薩経には、多くの者に姿、形を変え陰日向となり私どもを救済頂けると述べられています。

こんな役割を負い路傍にたつお地蔵さまにも、気が付いたら手を合わせ感謝するのもよい初詣になると思います。

改めて皆様方のご多幸を祈念申し上げます。