一期一会

瑞浪市 開元院 住職 逸見 智孝 老師

「一期一会」よく知られた言葉です。一期とは一生、一会とはただ一度の出会い、という意味です。茶道の世界ではよく使われる禅の言葉で「主人と客は生涯ただ一度の出会いと心得て、そのとき精一杯、尽くしなさい」ということです。またたとえ再び出会う機会があったとしても、その時のその出会いはもう二度とは戻ってはこないのです。一年の経つのはあっという間です。一日はもっと早く過ぎ去ります。毎日顔を合わせる家族、同僚、毎日の様で実は最初で最後の出会いなのです。その時その時が最初の出会いで最後の出会いなのです。その時はもう二度とは廻ってはこないのです。

しかし、いちいちそのようなことを考えて顔を合わせているわけではありませんが、一度立ち止まってその時その場を見つめてみることも大切でしょう。絶え間ない無常という変化の中で、生きている今の一瞬を感じる事でしょう。朝、おはようございますと言い、夜、おやすみなさいと言う、その時はすべて一回限りです。昨日の自分は今日の自分ではありません。平成二十九年、今年も十二月半ばを過ぎ、多くの出会いがあったことでしょう。一期一会は茶の湯の世界だけではありません。私たちが生活しているすべてが一期一会なのです。一瞬の出会いも大切に一度きりの人生を生きていきたいものだと思います。