おどろきました

関市 福田寺 住職 橋本裕臣

最近のお話です。あるお店へ昨日購入した商品を返品したいと思いお店に出かけました。お店のカウンターに行くと、そこには私より年配の男性が大きな声を出しておられました。何かわからないのでそばまで行って聞いてみると、「接客態度が悪い、俺をバカにしてる」とか、えらい見幕でまくしたてられてみえました。お店の方は「はい、はい」と話しを聞いて頭を下げておられました。それでも見ているとおじさん、怒るたびに口から入れ歯が半分出たり入ったりしながら真剣に怒ってみえました。店員さんも半分、笑いをこらえながらそれでも「はい、はい」とうなづいてみえました。言葉の半分は何をおっしゃっているのか聞き取れませんが、でも怒っているのは間違いありません。最近、そういえばキレるお年寄りの方が増えたと何かで聞いたことがあった。いろいろなストレスがあるのかな、一人暮らしであったり、近所の人とうまく付き合えなかったり。それぞれいろいろな原因はあると思います。しかし、こんな場所で大きな声を出されては、側にいるこちらもあまり気分がいいものではありません。とっさに、私もその方に声をかけてみました。「おじさん、どうしたんですか」おじさんにこちらをキッと見て「よう聞いてくれた。この店は俺をバカにしている」とかいろいろ私に告げました。「そうかねそんなことがあったかね、でもおじさんキレていかんに、キレていいのは関の刃物だけだに。」おじさん一瞬口をつぐんで、そりゃそうだ。とおじさん笑ってくれました。いやいや、こちらもヒヤヒヤしてたが何とかおじさん落ち着いたようでした。店員さんすかさず。大変失礼なことで申し訳ありません。と又頭を下げ、おじさん満足して帰られました。

歳を重ねると言うのは、一年一念のことを積み上げて行く、その一年のいろいろな思いを積み上げて歳を重ねていく、ある程度の年齢になっていくと人に助けられて生きていくしか方法はありません。そのためには今できることは人に寄り添うことが大切なんだとつくづく思いました。きっとあのおじさんも誰かに寄り添っていて欲しかったのかなと思いました