高山市 雲龍寺 住職 亀山 浩雲
今、物が豊かな時代となり一見幸せそうには見えますがその反面、人の心は貧しくなってしまいました。人々の心は乱れ、己の幸せだけを求め続けて生きているように感じてなりません。
「山の彼方の空遠く幸い住むと人の言う」あの有名な言葉のように、私達は幸せはどこか遠くにあるかのように探し求めています。しかし、そうではありません。「幸せ」は遠くにあるものでなく本当は自分自身の心の中にあるのです。
あなたは幸せをどのように考えていますか。ある人は沢山の財産を手にすることと言い、またある人は地位や名誉を得ることと言います。また、自分にとってとても嬉しいことがあった時、幸せに感じると言います。しかし、それらも幸せには違いありませんが一時的なものでしかありません。財産や地位や名誉を得ることだけでは決して本当の幸せにはなれないのです。何故ならば財産や地位や名誉は常に変化するものだからです。では、変わることのない本当の幸せとはどんなことなのでしょう。
お釈迦様は、一番の幸せは、「人として生まれ、仏の教えに会うことが出来たことである」と説いています。また、道元禅師は、「あなたが幸せになりたいと思ったら、自分の欲しいと思うものをまず他の人に与えなさい。また自分のことは後にして他の人を幸せにしてあげようという心を起こし、実践することだよ」と教えておられます。「他人の為に」と思いやる心を菩提心と言います。この菩提心を起しそして実践する事、これこそが人としての本当の幸せなのです。