莫妄想

高山市 洞雲寺  住職 大森 俊道

新しい年を迎え一ヶ月半飛騨地方は一番寒い時期まっただなかです。岐阜県は北と南では気候が全然違いますね。

莫妄想という言葉をごぞんじでしょうか。『まくもうぞう』は妄想すること莫れと読みます。

生と死、善と悪、幸不幸など、その一方に執着して考えると苦しみ、迷います。

執着心が妄想といいます。

たとえ良い事をしてもそれに執着すれば、妄想という横道にそれた想いになってしまいます。

どうすれば妄想にならないのでしょうか、何事も比べない、執着しない、悩みや苦しみ、勝手に決めつけない、考えても仕方がない事は考えない、ミスをいつまでも引きずらない、事ではないでしょうか。

昔の中国の僧で無業和尚は、何を聞かれても莫妄想としか言わなかったといわれております。

妄想を断ち切ってしまえば、それがそのまま悟りの心境です。

私たちは、些細な事に不安を覚えたり、失ったものに執着したり、ネガティブに物事を考えてしまいがちです。それでは自分自身で負のスパイラルに陥ってしまいます。

変わらない事にではなく、変えられる事に目を向けましょう。失ったものではなく、今あるもを考えましょう。