小さなほとけさま

飛騨市光円寺 住職 大森 武徳

一面真っ白な雪景色になり雪の中で遊び、玄関の前には小さな雪だるまを作って飾ってある家を見ることが多くなりました。

きっと子供達は寒くても元気に精一杯遊んでいることを思い浮かべると雪国ならではの楽しみな事と、大変な事は紙一重のようにも感じます。

さて、そんな子供たちが通う保育園のお話です。

双葉保育園はもともと神岡町にある洞雲寺の庫裡から始まり今日に至り、慈悲の心や禅の精神に基づいて保育をしています。その一環として、毎月いちど保育園内で3歳児以上の園児を対象に坐禅会を行っています。

私は今、この坐禅会の指導を担当させていただいています。四月に初めての坐禅会を行いました。初めて経験する坐禅は、園児たちにはちょっと苦しかったかもしれません。五分もたつと、隣の子にちょっかい出したり、わざと咳をしたりします。咳の合唱が大きくなると坐禅は終了です。

しかし、どんなに騒がしかった園児たちも坐禅会を一年も続けると、ほとんどみんな静かにしっかりと坐ることができるようになります。幼い子は、無垢な心と大人にはない柔軟性で、ほんとに綺麗な姿で坐ることができます。園児が坐禅している姿は、まさにちいさな仏さまそのものです。

仏教の教えの中に、人は生まれながらにそのまま仏であるという教えがあります。屈託のない思いで仏さまに手を合わせたり、無垢なこころで坐禅をしている園児たちの姿は、私たちにそのことをおおいに物語ってくれます。私たちは長い人生の中で、多くのものを身につけてきた一方、大切なものを忘れてしまっているような気がします。子供たちは信じるという大切な心をいつも教えてくれる尊い先生なのです。