草刈り機の選択

各務原市 瑞巌寺 住職 巌 晃司 師

私たちは、実に多くの選択をして生きています。今日は、選択に迷った時のヒントを感じさせてくれた、お盆前のお掃除会の出来事についてお話しさせていただきます。

文字通り、老若男女の皆様に集っていただける訳ですが、ここ数年で若い方を中心に、ガソリン式ではなくバッテリー式の草刈り機の持参が多くなってきました。そんな中、ひときわ目立つ古い年式のガソリン式草刈り機を持つおじいさんがこう言うのです。

「こっちの方が長持ちするでのー。」

確かに、もう何十年と使っている様相の長持ちする草刈り機ではありましたが、おじいさんのこの言葉の本当の意味を私達はまだ理解していませんでした。朝6時半からの作業なのですが、お盆前の真夏日で気温は30度を超えていました。3・40分ほど経った頃でしょうか、若い方々達が次々に休憩に来るのです。みなさん草刈り機のバッテリー切れでした。さきほどのおじいさんはと言うと、黙々と手際よく作業を続けられていました。

「こっちの方が長持ちするでのー」

先程の言葉が深く胸に響き、本当の意味が分かった気がしました。

そして、作業が終わってから話すおじいさんの言葉に私たちは、驚かされました。

「バッテリー式の草刈り機位わしも持っとる。」

なんと、日常のご自分の田畑の手入れで使っているバッテリー式ではなく、倉庫の奥に眠る長時間作業できる古いガソリン式を持ってくるという選択をされていたのです。軽い・便利という自分の為の選択ではなく。

私たちが考えたいのは、日々の中で選択に迷ったときどんな価値観に基づいて選択をしていくのか。その一つに、他人の為という観点を1つ入れてみてはどうでしょうか?自分だけが良ければいいという選択ではない限り、きっと進歩という発展が、自らを滅ぼす選択にはつながっていかないと信じています。

まもなく始まるお彼岸は、自らの行動を見直す大切な時節です。他人の為を考えた、日々の選択を共に実践してまいりましょう。