「変わり続ける」

飛騨市 光円寺 住職 大森武徳 師

毎月1日の托鉢を回っていると、最近この辺りで熊出るから気をつけてくださいね。

びっくりすることを聞いてしまいました。

熊が出てきたらどうしようと、不安に思いながら托鉢を回っていると、キノコとり名人のおばあさんに会いました。

「熊が人里に出てくるようになったのも山が変わった一つ。20年前はこの辺りでイノシシすらいなかった。山も変わっているよ。山も変わるのだから人も変わって当然。」こんなことを話してくださいました。

長年、山にキノコを採りに行っているおばあさん、昔はよく採れた、最近は少なくなった、キノコがよく生える場所が無くなったなどの話ではなっかた。山全体が変わっているという。

見慣れている山、樹木は春夏秋冬、色々な姿へ変化しています。無機質に思える山が変わるなんて思いもしていませんでした。普段遠くから見ている山は、何も変わらずに見えていました。しかし、山の中は、常に変わり続けているようです。

山も変わっているのだから、同じように人の世も変わっていくのです。

お釈迦様の教えの中に、「無常」という言葉があります。「この世の中のあらゆる物事は一瞬たりとも停止することなく、常に変化し続けている」ということです。

普段同じように見えている事でも、実際には常に変化し続けている。変化しているということは、滅びるものもあれば、新しく生まれるものもあるということです。

言い換えれば、困難に直面しても、変化して良い方向にもっていけることも出来るわけです。

どんな変化も受け入れられる柔軟な心になりたいものです。