お彼岸を迎える心

岐阜市 洞泉寺 住職 岸 真量 師

九月も半ばになり、もうすぐ御彼岸を迎えます。御彼岸にはお寺での法要に参加したり、先祖のお墓参りをします。また、この一週間は仏教の徳目である六波羅蜜を実践する仏教週間でもあります。その最初の徳目に「布施」がありますが、曹洞宗の経典、修証義には「その布施というのは貪らざるなり」とあります。何か物やお金を施すのではなく、「貪らない」「必要以上に求めない」という事こそが布施であり、その心で施しをして、自分の欲を捨てなさい。と説かれています。

例えば電気の事を考えてみましょう。自分が節電をすれば、不要な電力消費を抑えて他人に施しているとも言えます。冷蔵庫、テレビ、照明など全て省エネの機器に変えて、必要以上の便利さ、快適を求めないということです。あの時、東日本大震災の時でも日本全国での節電によって、原発が一基も動いていなくても、電力不足を切り抜けて来ました。

「奪い合えば足らぬ分け合えば余る」です。

「放てば手にみてり」とは道元禅師のお言葉ですが、欲を握りしめたままでは何も掴めない、手を離せば何でも掴むことが出来、自由になるということです。

御彼岸を迎えて、布施の心でもっと自由になりませんか。