「言葉の力」

加茂郡白川町 住職 宇都宮英俊 師

近頃では、テレビの報道などで発言した言葉で責任を負う場面をよく見かけます。どのような場面でも、言葉で伝えることの難しさがあり、使う場面で状況が変化し良いほうへも悪いほうへも進む力があり、言葉の力というものは影響力を持ちます。

公の場以外でも気を付けなければならない場面が多々見られ、言葉を発するときには気を遣うこともありますが、必要以上に構えてしまうと言葉を発せなくなります。

言葉は人と人とが伝えあう大切なコミュニケーションのひとつです。身近なところでは挨拶があると思います。家族に朝起きたら「おはようございます。」と、お互いに声を掛け合います。そのときに相手から返事がなかったり挨拶の声の明暗でその日の調子が伺えたりもするものです。

家族以外でも学校、近所づきあい、会社などでも会えばまず挨拶をしますが、その人その人でその日の様子がうかがえるものです。

言葉には秘めたる力があります。一番の言葉の力は自分自身を鼓舞する言葉であります。例えば今描いている夢や希望を口に出したり、前へ進むために気持ちを高めたり、自分に自信が持てるよう言葉を発して奮起させることです。その発した言葉は言い続けることで、夢への実現につなげたり、くじけそうになった時にも必ず支えて前に進める力となることでしょう。

良い言葉を発すると自然といい流れになるということ、このことは古より伝わっていて、仏教の教えの中の愛語という教えがその中で息づいています。良い言葉を掛け合えば人の心は穏やかになります。罵声や人を傷つける言葉を発すれば心は病んでいきます。

このように私たちは、生活していくうえで言葉の掛け合い方ひとつで、様々な影響を受けやすいということがわかり、言葉は非常に大切とされることを体験します。

家族や友人、近所の方や勤め先などで話すときは、言葉には力が宿っているということを思い発することで、言葉に重みを感じ、自然と優しい言葉を使うようになることでしょう。言葉を出す前に一度頭と心で考えて発すると相手に気持ちが伝わるのではないかと思います。

それではまず相手に気持ちのこもった挨拶をして、言葉の秘めている力を感じてみてはいかがでしょうか。