「命を支えている食事」

関市 延寿寺 住職 早川明宏 師

私達の命を支えている食事とは、他の動植物の命を戴くことです。人間だけでなく他の動物も、食べることによって体内に栄養を吸収しています。地球の生態系は食物連鎖のバランスで保たれています。満腹のライオンは決していたずらに狩りをしません。ほとんどの動物は自分より弱い生き物によって自分の命が支えられている事を本能的に知っているのかもしれません。乱獲は、自らの命を滅ぼすことになってしまいます。

植物と動物とは、二酸化炭素と酸素の相互依存関係です。このように私達の命は、生態系の調和によって保たれています。現在の地球上の全生命体の起源は、三十七億年前に生まれた一個の細胞でした。それが分裂しながら遺伝と進化を繰り返して、現在の生態系となりました。その意味では生命は同根であり、命そのものに、優劣・上下・貴賤はありません。生命は平等であり、何よりもかけがいのない存在です。その平等な生命奪うのが食事ですから、食事という殺生を懴悔し、頂戴した命に感謝しましょう。