「ウサギとカメ」

美濃市 長徳院 住職 永田将人 師

世の中には、素晴らしいグループがたくさんあって世のため人のために活躍しています。

ずっと仲良くできればいいですが、仲よくというのは、崩れやすいものです。

「ウサギとカメ」というお馴染みの昔話がありますが、なぜあのウサギがカメに負けたのか。ウサギはカメがのろいということがわかっていて、油断して負けてしまった。そういうことを言われています。

もう一つの解釈。仏教的な解釈でいきますと、なぜ足の速いウサギに歩みののろいカメが勝ったのか。それは、ただ一つ、カメは、山の向こうのふもとのゴール、目標地点、最後到達するところだけを見つめて、自分なりの歩幅で歩いていった。 一方、ウサギは、カメを見た。ゴールは関係ない。こいつは遅いな、ちょっと休んでやろう。

人生の目標というのは、成仏、ここに心を据えていきますと、据えた目標に導かれて人生の歩みが変わってきます。

人と比べていると、喜んだり、得意になったり、忙しく、消えてしまうようなことにあくせくして一生を終えてしまいます。仏になる。なる自分が、仏の声を聞きながら歩んでいく。そういう自覚を、前へ一歩出していただく。そういう目標だけを決めていると、仲良くなるのです。

相手だけを見つめていると、時にけんかになります。目標一つを見ていれば、いろいろな人がいるけれども、 一緒に行きましょう、ともどもに真実の道を歩みましょうと、これで仲が悪くなるわけがありません。

皆同じ方向を見ていて、お互いを見たわけじゃない。カメさんになったわけです。それでケンカをすることはないですから、 一緒にそれぞれ頑張りましょうと。こういうことです。