「イライラしてもいいことはない」

海津市 春光寺 住職 横井晋司 師

「お父さん、今日、運転荒くない?」

車で子どもをスポーツクラブに送っていく途中に言われました。子どもが時間になっても準備が終わっておらず遅刻しそうになっている、車が思ったように進まない、私もイライラしていました。

仏教には、貪(とん)・貪り、瞋(じん)・怒り、痴(ち)・愚痴の三毒という言葉があります。三毒は、人間の根源的な悪徳のことを指します。瞋(しん・じん)は人間の感情と切っても切れないものなのです。

子どもが言った言葉。私の怒りの感情が運転にも表れていたのでしょう。アンガーマネジメントという言葉があります。怒りに瞬間的に反応するのではなく、6秒数えて自分の怒りをコントロールする方法です。私は一呼吸置きました。

「そうだね。安全運転しなきゃね。」

もちろん、イライラが全て解消されるわけではありません。しかし、私も落ち着き、安全運転で子どもの時間にも間に合いました。安全運転でも時間には間に合ったのです。運転が荒いまま向かっていたら、思わぬ事態を招いていたかもしれません。

アンガーマネジメント。6秒は長いかもしれません。しかし、怒ってもイライラしても事態はいい方には向かいません。6秒数えるだけで、もしかしたら怒らなくても良くなるかもしれません。たった6秒、されど6秒、瞬間的に沸騰する前に数えてみませんか。