和の心

本巣市 大亀寺 住職 戸田祥隆 師

皆さんは、見上げた空のどこから宇宙になるかご存知ですか?きちんとした境はないそうですが、一般的には100キロから先を宇宙としているそうです。100キロ先となると、私の住む岐阜県本巣市からは高山や京都のあたりです。皆さんの住んでいる所からはどうでしょうか。いつか高山や京都に観光へ行くような感覚で、宇宙を旅する時代が来るのかもしれませんね。

さて、そんな宇宙に行ったことのある日本人は、これまで12人いらっしゃいます。その中でも若田光一さんは、4度の宇宙飛行に飛び立ち、日本人初の国際宇宙ステーション船長として、チームの指揮をとられたことで、ご存知の方も多いのではないでしょうか。若田さんは、宇宙ステーションで迎えた1月1日に書き初めをされました。そこで書いた言葉は「和の心」。若田さんが船長を務めるうえで大切にしてきた言葉でした。100キロ以上上空の世界は地上とはまったく異なる空間です。無重力・閉鎖的環境などの宇宙特有のストレスが心に大きくかかってきます。しかも、そんな中で生まれも育ちも価値観もバラバラなメンバーと何ヶ月も過ごし、与えられたミッションを果たしていく。そこには、相手を思いやり、調和の中からベストな結果を生み出す日本人らしい「和の心」が大切と若田さんは述べられています。

和には穏やか、あたたか、仲良くする、争わないといった意味があります。私たちは、日々の生活で誰かと関わりあって生きています。ときには「何だかこの人とは考えが合わないな」と悩むことも当然あります。でも家族や住んでいる地域、職場は私たちにとって宇宙を旅する船なのかもしれません。そんなときこそ「和の心」。相手を大切に“思いやる心”そして“あたたかい言葉”を心掛けてみましょう。その船から見える地球はどんな形をしているのでしょうね。