揖斐郡 観音寺 住職 田中 和彦 師
平成から令和を迎えた今年、私にとりましても大きな節目の年になりました。住職になってから二十数年、周りの御住職より少し遅めの「晋山結制法要」を無事、この春勤める事が出来ました。その法要の準備を進める上での出来事から、普段の何気ない人との出会いにもご縁を感じ、そのご縁に感謝する暮らしの大切さや有難さを体験致しましたので、お話ししたいと思います。
法要を行うのにもう一人「首座」という大切なお役の方が必要で、法要を機に師弟関係となる御互いにとりましても生涯の出会いとなる方です。この度「首座」としてご縁を頂きましたのは、愛知県在住の昌広さんという方で、私の法要に合わせたかのタイミングで永平寺での修行を終わられ、ご自分のお寺に戻られた所で、人を介してご紹介頂きました。この出会いが不思議なご縁で、知り合ってから数ヶ月後に、私の先々代の祖父と昌広さんの先々代に当たる法祖父が、何といとこ同士で、共に幼少を過ごした家も隣同士だったと云う事が判りました。
このような経験から、普段何気なく起こる事柄や、出会う人、すべての物にご縁を感じ、その中で精いっぱい生きていきたいと思う事が多くなり、良いことや楽しい事ばかりではない人生も、きっと自分にとって意味のある大切な事なのだと思い、向って行く気持ちが強くなりました。
私達は、自分に辛い事や悲しい事、苦しい事などが降りかかると、「なんで自分ばかり」などと考えてしまったり、悩みの底に陥ってしまったりする事もありますが、今の私にとってこの悩みは意味のある悩みだと思い、これを乗り越えれば、きっと素晴らしい人生が開ける事を信じ、決して人のせいにすることなく前向きに明るく生きて行きましょう。