テレフォン法話

曹洞宗岐阜宗務所では電話による法話の発信を行っています。
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あたりまえに感謝

岐阜市木造町 勝林寺 住職 等 真一

「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて涼しかりけり」これは曹洞宗を開かれました道元禅師の詠まれた有名な歌であります。あたりまえに移りゆく四季の風景を詠んだ歌でありますが、このあたりまえの季節の移ろいを皆さんは感じておられますか。

今は四月春の訪れを感じる桜の季節です。又、新しい年度に変わりそれぞれが気持ちも新たにお過ごしになって見えることと思います。何かと忙しい毎日ではありますが、季節を感じ周りを見渡せる余裕はありますか。春は咲き誇る花を見て、夏はほととぎすの声を聞き、秋は美しい月を眺め、冬は真っ白な雪と寒さを感じ、春夏秋冬それぞれの季節を感じ、あたりまえに過ぎている時間の流れの中で生かされている自分を感じてみて下さい。

季節の移ろいを詠んだ道元禅師の歌に込められた思いとは、刻々と移ろいゆく時間と変わりゆく世界の中で、生かされている自分を感じ又、自分と周りの世界が決して別々ではなく、一人ひとりが役割を持って存在をしているのであるということをお諭しになられているのではないでしょうか。

「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて涼しかりけり」春夏秋冬それぞれの季節を感じ、あたりまえに過ぎてゆく毎日を、ありがたいと感謝できるようにありたいものです。

竹に上下の節あり

曹洞宗岐阜県宗務所所長 時田 泰俊


時田春の日差しの中、桜の花びらが風と戯れるが如くたおやかに揺らぐ時節となり、平成二十七年も水温む四月となりました。

皆様は本年の年頭に思い浮かべ、また願った日々をお過ごしでしょうか。
「竹に上下の節あり」という一文がございます。竹は上下に節があるからこそ強靭さと、風にそよぐしなやかさが保てるとの意味であります。

正月元旦より、節分、雛祭り、お彼岸、またそれぞれの個人家庭での記念日と多くの行事を重ねてみえたと思います。私達が意識することなく日々過ごし積み重ねてゆく行いこそが、人生における竹の一節一節に当たると思います。

今月八日はお釈迦様の誕生を祝う「花まつり」です。お釈迦様はお生まれになり七歩歩まれ天地を指さし「天上天下唯我独尊」と申されたと伝わっています。すべての人が尊く唯一絶対の誰に代わることもできない存在であるとの意味です。

この尊い自分が竹の如くしなやかに歩み続けるためにも、「花びらと色と香りを損なわず、ただ蜜味のみをたづさえてかの蜂の飛び去るが如く」と伝うお釈迦様の教えの様に、一つ一つの行いを欲張ることなく丁寧に大切に積み重ねてゆきたいと思います。