「柳は緑、花は紅」

美濃市 善應寺 住職 雲山 晃成 師

「柳は緑、花は紅」と言う禅の言葉があります。春を連想する美しい言葉ですが、みなさんはこの言葉を聞いてどの様に感じましたか?

柳は緑、花は紅。見たままの当たり前の言葉じゃないかと思う人もいるかもしれませんね。

この世の中の森羅万象を言葉にすることは中々難しい事ですが、この言葉は見事に短い言葉で言い表していると思います。

この言葉に出てきます栁や花たちは誰に褒められるわけではなくその時をしっかりと生きています。なので春になればきれいな花や葉を芽吹かせることが出来るのです。

それに比べて私たち人間は暑い夏には早く秋が来ないかと思い、寒い冬の時期になれば早く春が来てほしいと思ってしまいがちです。次の春を見れる保証は誰もいないのについつい今を見過ごしてしまって、未来ばかりを気にしてしまいます。

柳の葉っぱが輝いて見えるように、花たちの良い香りを感じるように、ありのままをしっかりと感じ、美しい自然の営みに出会っていることに感謝をし、そしてその自然の中で私たちも輝いているのだと感じられたら幸せですね。