「修証義第四章『発願利生』」

土岐市 荘厳寺 副住職 軽部 文章 師

本日は、『修証義』第四章「発願利生」に説かれる

「布施・愛語・利行・同事」について、お話をさせていただきます。

これは、仏さまの教えを実際の生活の中でどう生かしていくか、その具体的な姿を示した四つの行いであります。

まず「布施」。

布施と聞きますと、お金や物を施すことを思い浮かべますが、それだけではありません。席を譲る、手を貸す等――そうした小さな行いも、すべて布施であります。

次に「愛語」。

これは、やさしい言葉、思いやりのある言葉をかけることです。

私たちはつい、きつい言葉や無関心な言葉を使ってしまうことがあります。しかし、たった一言のあたたかい言葉が、人の心を軽くすることもあるのです。

三つ目は「利行」。

これは、人のためになる行いをすること。見返りを求めるのではなく、「この人のためになるだろうか」と考えて動く、その姿勢であります。

そして最後が「同事」。

これは、相手と同じ立場に立つということです。

相手と同じ目線で、同じ場所に立って関わる。ここに、仏さまのまなざしがあります。

さてこの四つの行いは、それぞれ別々のもののようでいて、実は深くつながっています。

たとえば、誰かにやさしい言葉をかける「愛語」も、それは心を施す「布施」であり、相手のためになる「利行」でもあります。そして、その人の立場に寄り添うならば、それは「同事」となります。

日々の生活の中で、一つの心が様々な形となって現れている姿なのです。

『修証義』第四章が教えているのは、まさにそのような日常の中でこそ、他者に向かう心を忘れないということです。

ほんの一言、ほんの少しの気遣い、その小さな行いが相手の心をあたため、同時に自分自身の心も整えていくのです。