「少しの思いやりの心で」

加茂郡白川町 臨川寺副住職 加納勇毅 師

新型コロナウィルスの感染拡大により、私たちの日常生活は大きな影響を受けています。

目に見えないウィルスへの恐怖心、社会・経済に対する不安、自粛生活によるストレス等がのしかかっています。それらの恐怖や不安から感染者や医療従事者に対する偏見や差別、周りの事を鑑みない自粛疲れの発散を見かけます。

又、世界の国々では、平等な社会を目指しながらも、ワクチンの争奪戦が起き、格差社会が大きな問題となっています。

人間だれしも平穏で、満たされた生活を願っていますが、恐怖や不安を克服することは大変難しい事です。

では私たちはどのように毎日の生活を送れば良いのでしょうか。

少し考えてみましょう。

お釈迦さまの教え、八大人覚の中に「知足」があります。「知足」とは、“現状を満たされ、足りているものと理解し、不満を持たない”という教えです。

今置かれている現実と向き合い、一人一人が利己的な行動をつつしみ、相手の事も自分の事として捉えることで、そこに“思いやりの心”が生まれます。行動の一つ一つに、“思いやりの心”を持つことが出来れば、余裕のある明るい生活を望むことが出来るのではないでしょうか。

物事を正しく理解して、恐れることなく行動する。そうすれば安らぎや信頼が芽生え、明るい未来も見えてきます。

コロナ禍のこんな時こそ“思いやりの心”を持った暮らしをしてみませんか。