「口伝」

可児市 弘福寺 副住職 丹治 大輔 師

お釈迦様の最後のお言葉に「怠ることなく修行を完成させなさい」というお言葉があります。

この言葉から分かるように、お釈迦様自身は自分がどんなことを語ってきたのかということを残そうとは思ってなく、修行をしなさい、というのがお釈迦様の意思であったと言えます。

なので、お釈迦様の死後、お釈迦様の傍で一番話を聞いていた弟子の阿難陀の記憶を頼りにお釈迦様の言葉を後世に残そうということになりました。

今であれば、携帯で録音するとかで簡単に記録を残すことができますが、当然その当時の技術にはそんなものはなく、紙で記録するという技術すらない。なので、お釈迦様のお言葉というのはすべて口伝にて伝えられたのです。

いわゆるお経の始まりになるのですが、その量がとてつもなく膨大な量ですから、よくこれだけの量をみんな覚えられたな、と思います。

今当たり前のように日本では仏教というものにふれている訳ですが、これも全ては、お釈迦様の弟子、そのまた次の弟子と脈々と口伝にて語り継がれたからこそ、今お釈迦様の教えに触れることができる、それはとてもありがたいことだと思っております。