各務原市 寶禅寺 住職 宮崎 證俊 師
暑かった夏から朝晩の風に心地よい涼しさを感じるお彼岸の時期になってまいりました。
お彼岸という言葉は、私たちが生きる迷いの世界「此岸(しがん)」に対して、仏様のいらっしゃる調った世界「彼岸(ひがん)」を意味しています。
さて、秋は収穫の季節ですね。田んぼには黄金色の稲穂が実り、頭を垂れています。その姿は、正しい生き方そのものを表しているようです。
たくさんの恵みを受けて豊かに実りながらも、決して威張ることなく、深く頭を垂れて大地に感謝している。
私たちがお彼岸にお墓参りをし、手を合わせる姿は、まさにこの頭を垂れた稲穂の姿そのものと言えるでしょう。
禅の言葉に「時時勤払拭(じじにつとめてふっしきせよ)」というものがあります。
「毎日こつこつと努力を重ねて、自分の心に溜まる煩悩や迷い(塵や埃)を綺麗に拭い去りなさい」という意味です。
私たちは日々の忙しさの中で、ついつい色々な欲や怒り、不満という心の塵を溜め込んでしまいがちです。
心が塵で曇っているとき、私たちは迷いの此岸にいます。
だからこそ、この秋のお彼岸の時期には、お仏壇やお墓を綺麗に掃除すると同時に、自分の心の掃除をする期間にいたしましょう。
ご先祖様へ感謝を捧げ、静かに手を合わせる。
その瞬間、心の塵は綺麗に拭き取られ、そのまま穏やかな彼岸へと変わるでしょう。
