揖斐川町 観音寺 住職 田中 和彦 師
私が若いころには「十年ひと昔」と言われていましたが、昭和から平成になりパソコンが普及し、凄ましい速さで社会に受け入れられ、令和になった今では誰もがいつでも手元にネットを通じて世界中に繋がる端末を持つ時代になりました。
いつの間にか便利さを享受しながらも、いつも手元にあるその機械に頼り切っている私がいます。その便利な機械に今では振り回されているとも感じる時さえあります。
しかし、便利なものにも良い面と悪い面の両極があります。良い面としては調べ物をする時や知らない土地に行った時、時には文字や言葉の翻訳なども瞬時に行えます。
しかし、実は悪い面も全く同じだと思います。指一本の操作であらゆる物事を解決できる為に、すぐに回答を求めたり、自分の中でしっかりと答えを導き出すというような事が出来なくなっているのではないでしょうか?
ちょっとした事が我慢出来なかったり、だんだんと自分勝手で我が儘な人間になっていくような気さえしています。
私は、こんなスピード社会にこそ心の平安が大切なのではないかと考えます。
時には文明の利器を離れ、ゆったりと自分の時間を楽しむのも良いと思います。例えば本を読んでみたり、好きな事にたっぷりと時間をかけてみたり、などです。
私が数年前から積極的に行っているのは禅宗ならではの「坐禅」です。
壁に向かい、足を組み、効率も生産性も求めず、自分の内面に向かう貴重な時間がとても心地よいです。
私のお寺では、月に三度の坐禅の機会と、いつでも予約にて「体験坐禅」ができる場を提供しています。
ぜひ、スピード社会といわれる今こそ、ご自身とじっくり向き合う時間を作り、穏やかな時を過ごしてみてはいかがでしょう。
