「三拝九拝」

岐阜市 勝林寺 住職 等 真一 師

お寺の法要にお参りをされますと、法要のはじめと終わりにお導師様やお役の和尚様方が三度の合掌礼拝をされるのをお気づきのことかと思います。この動作を三拝といいます。

法要によってお導師様は九拝されることもございます。一般に使われております三拝九拝とは何度も頭を下げて拝むこと。またそのようにして頼むことと言う意味として使われておりますが、仏教では三拝九拝と何度もお拝をすることが大切な項目となっており、特に禅宗ではこれを丁寧に行います。

禅宗の和尚様達は常にこの三拝九拝をもって仏様にご挨拶をし、感謝の誠を捧げております。もちろん仏様ばかりではなく私たちを取り巻くすべてのものに感謝しなければなりません。「ありがたいと思う心が今日の幸せ」

「ありがとうと言われるように言うように」

という標語がありますが、本当の三拝九拝は

お拝をされる方もする方も、そのまま仏様であり、お悟りの姿そのものでなければなりません。拝むからこれをしてほしいとか、お願いをするような三拝九拝ではなく、一人一人がありがたいと自然と手を合わせて頭を下げる本来の三拝九拝をすることが、人々の幸せにつながっていくのではないでしょうか。