一挨一拶(いちあいいっさつ)

飛騨市 玄昌寺 住職 澤田 祥信 師

子どもを取り巻く事件が増えています。知らない人に声をかけられたら、「笛を吹いたり」、「近くの見守りをしてくれる家に駆けこみなさい」というようなことを学校からの指導がされているところもあります。これも、今の時代、防犯の面から仕方がないかもしれません。また、歩いている人は、前を見ず、スマホを見ながら歩くという時代です。まして、あいさつなどしない時代になってきています。

「一挨一拶(いちあいいっさつ)」という言葉があります。これは、師匠が弟子に声をかけ、相手の悟りの深さを測ることから始まっています。師匠と弟子のふれあいが、今では、相手と心をふれ合わせる手段の「挨拶」に変化したものです。

現在では、相手の悟りの具合を見るわけではありませんが、「おはようございます」という言葉から、声や表情により相手の様子を知ることができます。お互いの理解を深めるきっかけになるかもしれません。

大きな声であいさつをされれば、相手もうれしいものですし、自分自身も気持ちが良くなります。

通学中の子どもに、先に大きな声で「おはようございます」とあいさつされたら、良からぬ気も起きないと思います。