曹洞宗岐阜県宗務所所長 時田 泰俊
春の日差しの中、桜の花びらが風と戯れるが如くたおやかに揺らぐ時節となり、平成二十七年も水温む四月となりました。
皆様は本年の年頭に思い浮かべ、また願った日々をお過ごしでしょうか。
「竹に上下の節あり」という一文がございます。竹は上下に節があるからこそ強靭さと、風にそよぐしなやかさが保てるとの意味であります。
正月元旦より、節分、雛祭り、お彼岸、またそれぞれの個人家庭での記念日と多くの行事を重ねてみえたと思います。私達が意識することなく日々過ごし積み重ねてゆく行いこそが、人生における竹の一節一節に当たると思います。
今月八日はお釈迦様の誕生を祝う「花まつり」です。お釈迦様はお生まれになり七歩歩まれ天地を指さし「天上天下唯我独尊」と申されたと伝わっています。すべての人が尊く唯一絶対の誰に代わることもできない存在であるとの意味です。
この尊い自分が竹の如くしなやかに歩み続けるためにも、「花びらと色と香りを損なわず、ただ蜜味のみをたづさえてかの蜂の飛び去るが如く」と伝うお釈迦様の教えの様に、一つ一つの行いを欲張ることなく丁寧に大切に積み重ねてゆきたいと思います。