10回中10回の報恩

岐阜県加茂郡坂祝町 地蔵院 岡崎玄一

平成21年の事、僧堂での修行1年目、法要の鳴らし物を、大きくまちがえた事がありました。その法要終了後に役寮さんより、「普段からしっかり行じていないと、今日のような音(鳴らし物)になる、今日はたまたま、まちがえたのかも知れないが、それではダメだ、10回中10回、繰り返すことができるよう日々過ごしなさい」と修行僧全員の前で指導いただいたのを、今でも覚えています。

あの時、正確に音を出せなかったのは、技術や経験不足だけのものではない、と私は後にきづきます。勿論、緊張や不安は最高潮の中で起きた出来事でした。

普段から、日々の生活の中で、自分の「きづき」を高めていく。

10回中9回ではなく、10回中10回の意識が常にあれば、もしかすると不安や緊張を、自信に変える事ができたかも知れません。

スポーツに例えると「練習に練習を重ねる」、勉強に例えると「予習と復習」、

日々の生活においては「開けたら閉める」「食事は残さず食べる」「席を立つ際は椅子をおさめる」「(ありがとう)(すいません)と感謝の意をつたえる」と今すぐ実践できる事から、10回重ねる事が難しい事柄まで、日常生活の中には沢山存在します。

10回中1回、行ずることは、もう大事な何かにきづいています。10回中10回はどの分野に当てはめても「本物」であり「正しい道」となるでしょう。

身近なところから始めてみましょう。10回中9回ではなく、常に。

特別な行いをする必要はありません、毎日を大切に過ごしていく、工夫をしてみて下さい。