自然に学ぶ

加茂郡白川町 臨川寺 住職 加納 明義

今年も僅かとなりました。地震、台風、数十年に一度と言われる自然災害により、未だ生活を余儀なくされておられる方々が多くおられます。心よりお見舞い申し上げます。

道元禅師は「峰の色 渓の響きもみなながら わが釋迦牟尼の 声と姿と」という和歌を詠んでおられます。内容はお釈迦さまの悟りを求め、学び続ける私たちに「山の色合いも、谷川の響きも、みなお釈迦さまの説法の声であり、お姿なのです」というおさとしです。

仏道を学ぶ志をもち、一心不乱に修行を続けているうちに、周囲の峰の色や、渓の響きが修行僧に悟りを開く因縁になると、道元禅師は示しておられます。

私達は周囲の評判を気にしたり、名誉、財を貪り、己を美化しようとします。先ずは自分の「名利」を捨てることが大事です。

仏教の根本は「縁起」です。さまざまな原因や条件が集まって成り立っています。

縁起して起きる真実の姿に気づき、自然と共存し、智恵の眼差しをもって「利他行」を実践していきたいものです。

松竹梅の、松は千年の翠を讃え、竹は生長が早く、節目を付けながら真っ直ぐ伸び、梅は寒中に蕾を膨らませて、春一番に花を咲かせ、私達に生きる力と喜びを与えてくれる吉祥の象徴です。どうぞ皆様良い年をお迎えください。     合掌