岐阜市 洞泉寺 住職 岸 真量 老師
花々が咲き誇り、日差しが強くなるこの季節。道端にはタンポポが綿毛を飛ばしていたり、まだ花をつけているものがあったりします。花が大きく背の高いのが西洋タンポポで、控えめで背の低いのが日本のタンポポだそうです。風にその身を任せ運命を託して、たどり着いたコンクリートやアスファルトのひび割れなど、わずかな隙間に長い長い根を伸ばしてしっかりと生きています。
その根は長いもので70センチから1メートルにもおよび、大地の栄養分をしっかりと吸収しています。タンポポの本タオは花ではなく地面の下の長い長い根っこにあります。何千年何万年と続く進化の過程でタンポポの御先祖様が蓄えてきた力なのです。
人や車に踏みつけられても、すぐに立ち上がり、たとえ、その花が折り取られても、しばらくすると脇から新しい花芽が出てきて、生きること、子孫を残すことをあきらめることはありません。誠に辛抱強く、したたかに生き抜いています。
さて私たち人間は少しのつまずきですぐに悲観したり、もう駄目だと諦めたり、努力もしないで人に文句を言ったり、あるいは鬱になったりしていませんか。どんなに厳しい環境でも、どんなに運命に踏みつけられても、生き抜く力は私たちにも備わっているはずです。私たちの命の根っこも何千年、何万年と続く御先祖様から受け継いだ命ですから、苦しくても立ち上がって花を咲かせ、どんな場所でも強く生きていける力があるはずです。タンポポの花のように。