多福院 住職 市橋 正信
梅雨の季節もピーク、間もなくすると梅雨も明け、スカッとするような夏の訪れが楽しみな今日この頃です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。日本経済は、アベノミクス効果により景気が上向き、経済的に豊かな社会を取り戻しつつあります。反面“格差”という言葉も、以前にも増して現れ、社会問題化なりつつあります。他方、ブータン王国では、一人あたりの国民総所得が約20万円と、決して高くありませんが、国民総幸福量という政策により、国民の97%は「幸せ」と回答しているそうです。この「国民総幸福量」という政策は、経済成長を重視する姿勢を見直し、伝統的な社会・文化や民意、環境にも配慮した「国民の幸福」の実現を目指した政策だそうです。
誰しもが、経済的豊かさを求めることが当然ですが、本来、人として求めるべき所ではないかと感じるところです。
ブータン王国の「国民総幸福量」という政策の背景には、仏教の価値観があるそうです。その一旦は、お釈迦様が説かれた“利他行”にあると考えます。
“利他行”とは人は「人のために生きる」という大前提にあり「人様を幸せにできないで、自分が幸せになることはない」ということです。
東日本大震災被災地域では、今なお、厳しい生活を強いられていますが「絆」と大切にし、お互いを支えあい、勇気づけあい、今日まで頑張っておられます。
このご時世、希薄社会とも言われています。利他行の実践が、価値ある人生の一旦と担うと考えます。