御参り

関市 延寿寺 住職 早川明宏

私たちは、父母祖先という縦の人間関係と社会連帯という横の人間関係を持っており、この縦と横の二つの線の交叉した一点にたっているのが私どもなのです。日本では従来、縦の人間関係を重んずる社会構造でした。それが終戦後“封建的だ”と、批判されるようになり、それに伴って民族の伝承や先祖代々の家系の中に培われてきた美しい伝統と活力が失われてきました。しかし、時の動きに左右されず、ここで忘れてならぬことは、先祖あっての私だという事実の確認です。草花にたとえるならば、私どもは花であり、祖先は根に相当します。切り花はどんなに美しくても、根がないのですぐ枯れてしまします。美しい生命の花をいつまでもさかせておくには、根を大事にしなくてはなりません。根を大切にすること、それが孝順心であり、供養のまごころであります。お墓参りをし、法要に参列して、縦横二つの軸に生かされている自分をみつめ、真に望ましい人生を生きる活力を養いたいものです。