瑞浪市 増福寺 住職 逸見 智光
あるお宅へ月参りに伺った時の事です。いつもの様にお婆さんとお勤めを終え、お話しておりますと「和尚さん見てやってください、三年生になる孫が学校で作ってお供えして行ったんですよ」渡されたそのカードを開いてみると「お爺さん、いつも見守ってくれてありがとう」と書かれておりました。亡くなったお爺さんへ三年生の子が感謝の言葉をお供えしていたのです。亡き方、御先祖様への感謝の気持ちは供養にとって一番大事な物ではないでしょうか。お経を読んだり、好物をお供えしたり、香を手向けたり、色んな供養の形はありますが、そこにご先祖様への感謝の気持ちがあってこその供養でありましょう。この子はその一番大事な感謝の気持ちをしっかり伝えていたのです。ですがお爺さんが亡くなって七年、果たしてこの子はお爺さんの事を覚えているのか?お婆さんに聞いてみると、「はっきりは覚えていないみたい、でも通信簿をもらった時、テストで良い点とった時はお爺さんに報告してきなさい、お菓子食べたいと言ったら、仏さん、お爺さんにお供えしてから貰ってきなさいといつも言っているのです」と。
この子は生前のお爺さんの事を覚えていない、でもいつも仏壇に向かって手を合わせることで亡くなってからのお爺さんを身近に感じ、御蔭で自分が今こうしてあるという事、そして見守ってくれているという事をちゃんと感じているんだ。あのカードはだからこそ言える感謝の言葉であったのだな。
ご先祖様へ感謝の気持ちを伝えられていますか?。私達が今こうしてある事、それは紛れもなくご先祖様あってこそ。深く感謝し、その感謝の気持ちをご先祖様へ伝えて参りたいものであります。「ありがとう」と