年頭に当たり

曹洞宗岐阜県宗務所 所長 時田 泰俊 老師

新年あけましておめでとうございます。皆様に取りましてこの一年が充実したものとなりますよう心より祈念いたします。

どのような想いで新しき年をお迎えでしょうか?今年こそ、今年だけでも、今年も引き続き、と目標を定めるにも様々と思いますが、目標に向かって努力を継続する大変さは多くの方の共通の認識でしょう。

中国の唐の時代のお話です。

木の上で座禅をしている道林という和尚さんの噂を聞きつけ、当時地方の官僚でもあり詩人としても名高い白楽天が訪れ問いかけました。「仏様の教えの中心とは?」

道林はこう言い放ちました。「良いことをして、悪いことをしないこと、そうすれば心が清らかになる。これが仏様の教えだ。」

白楽天は思わず「三歳の子供でも分かっている道理である。」と返答しました。すると道林はさらにこう付け加えました。その通り「三歳の子供でも分かっているが、八十歳の翁でもこれを行うことは難しいことなのだ。」

この逸話に限らず、正しい行いの実行とその継続の難しさを伝えるには多くの文言と言い伝えが存在します。

私自身への善き行いへの課題として、少なくとも去年より善いと思われることを積極的に心掛けたいと思います。

皆様も去年より、半歩でも一歩でも、僅かでも善い行いへの心掛けと、気配りをしていただけたらと願っています。

このわずかな積み重ねが仏様の願いと通ずるものと確信しています。