坐禅に親しむ

飛騨市 久昌寺 住職 御福 光雄 師

 八月盆も過ぎ、慌ただしかった時間の流れからほんの少し離れて坐禅に親しんでみてはいかがでしょうか。

 禅宗に於いては、禅の修行に欠かせないものとして坐禅がございます。坐禅を修行の根本として坐禅の実践によって得られる身と心の安らぎがそのまま佛様の姿であると自覚し、佛道にならった生き方を日々目指しております。

 私たちは、この世に人間として尊い命をいただいております。尊い得難いご縁をいただいて、

更には日々の生活において、人生を誤らないために正しい道しるべとしての教えもいただいているにも関わらず、今日の社会はどうでしょう。何ともあさましい欲に絡んだ感情をむき出しにした醜い心の振る舞いが如何に多いことか。欲望や感情、私利私欲に走り、その上他人を傷つける言動など、争いごとの絶えないこの現実は、佛様の教えに反することであり人間としての行いではありません。

 福井県に在る大本山永平寺をお開きになられた道元禅師様は、日常の生活の中にあって坐禅の心で生きることが何よりも大切であるということを示され、ひたすら坐禅修行に打ち込まれました。坐禅の心で生きるということは、お釈迦様の教えに出会うということ、その出会うことができた喜びに感謝する日々の暮らしであると共に、お釈迦様のご恩に報いての生活を実践する心のよりどころなのであります。

 背筋を伸ばし、呼吸を整え、心を落ち着かせることによって坐禅の心、すなわち心豊かな自分に目覚める心がきっとはたらきます。

 是非坐禅に親しんでみて下さい。