瑞巖寺 住職 巖晃司
私が受験生だったころに、必死に覚えた英文法があります。
「not only A but also B」日本語に訳すなら(AだけでなくBも)となります。
月日は流れ住職になった今、この英文法を思い出すと、語学という枠を超え、「偏らない心」という大切な仏様の生き方を示しているように感じるのです。
さて、7月に入ったということは、平成29年度もあっという間に4分の1が過ぎてしまったという事になります。この数か月は、私自身寺、お寺や所属する各種団体の会議が多くございました。どんな時も全ての意見に耳を傾けられる自分であり続けたいと心がけています。例えばAという提案に対しB案が出てきたとき、協議の末にAB案を創り上げます。初めは独りよがりの思い付きの企画であったとしても、多くの方の意見を取り入れ協議を重ねることで磨き上げられていきます。単にAやBという限定的な世界ではなく、幅広い視野で物事を捉えることができます。そうして練り上げられた企画は、決して独りではたどり着けなかった夢と希望のあるものへと生まれ変わっていきます。そして何より、共に協議を重ねることにより想いを共有する仲間が増えていくのです。
どこにも偏らない心で物事を見る事の大切さを改めて感じた数か月でした。
さて、この「偏らない心」について、お釈迦さまは、
『前を捨てよ、後ろを捨てよ、中間を捨てよ』(法句経)とお示しになられています。
単に、AやBの妥協点を探すのではなく、AやBやCといった様々な案をそれぞれ深く理解したうえで、自らの道を、自らの選択で進んでいくことが大切なのではないでしょうか?
さぁ、平成29年度もまだ4分の3残っています。偏らない心で、進むべき道を進んでまいりましょう。
合掌