お盆の思い出

岐阜市 大覚寺 住職 山守隆弘

早いもので本年も7月を迎えました。まもなくお盆の時期でございます。

お盆には亡くなられたご先祖さまが我が家に戻られ、生きている方も故郷へと帰省します。自宅には、生きている方と亡くなった方が共に暮らし、過去、現在、未来の命が集う場となります。

毎年お盆の準備をしていると、小さい頃の思い出が蘇ります。

お盆の入りの13日の夕刻、祖父が私に言います。「これからご先祖さまのお迎えをしよう」そういって境内へでて、お墓や、庭先の前でおがらを焚きます。これが毎年祖父ともに行っていた習慣でした。「こうして火を焚いて、ご先祖さまたちが迷わずに帰ってくるように目印にするんだよ」と祖父が教えてくれました。

そして、16日の明け方、祖父とお寺の前に流れる川へ行きお経をあげ、お供え物や、キュウリやナスで作った馬と牛を船に乗せ、川へそっと流します。

幼かった私は、その時は何をやっているのか、わかっているようでわかっていませんでした。しかし、あの時一緒に行っていた習慣を今僧侶となって、祖父が大切なことを教えてくださったのだと改めて気づきました。

皆さまも伝統的行事であるお盆をお子さまやお孫さんとともに一緒に勤めてまいりましょう。今は理解できないかもしれませんが、大人になったとき幼いころに行った思い出によって伝わるはずです。ご先祖さまとともに過ごすお盆。皆さまでご先祖さまをお迎えし、尊い時間をすごしましょう。