お彼岸によせて

広福寺 住職 紀藤昌行師

猛暑の続いた夏も終わり、やがて訪れるお彼岸が過ぎれば「暑さ寒さも彼岸まで」のことばのように過ごしやすくなることと思います。
お盆に長期休暇を過ごされた方も多いことでしょう。そして今月はまた5連休が待ち構えています。日本には、土日の他に年間15日の祝日が法律で定められています。既に去年の法改正で8月11日の「山の日」が制定されており来年からは16日になります。
国民の祝日に関する法律の第1条に、「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築き上げるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の休日」と名づける。」とその意義が述べられています。さらに、第2条には、各祝日の日にちと意味が載せられています。
そこで、秋のお彼岸のお中日「秋分の日」はというと、「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」と定義されています。今、生かさせていただいている私たち一人一人に対し、10代さかのぼれば、1,024人のご先祖さまが、さらに10代さかのぼれば、 1,048,576人のご先祖様がおられます。長い歴史の中で、多くのご先祖さまの願いと見守りをうけて、私たちはこの世に暮らさせていただけているのだと思います。
誰一人としてご先祖さま無くして今の私はありません。この祝日の意義を今一度思い起こし、折角の休日のどこか一日、それぞれの祖先を偲び、感謝の思いで墓前に手を合わせ、ご先祖様との語らいをしてみてはいかがでしょうか。