「飛騨 晩秋から」

高山市 久昌寺 御住職 新村雅芳 師

晩秋の朝。うす霧の中、白い息を吐きながら門頭の灯りを消す。暫くすると霧が晴れ少しづつ陽の光が射しはじめ、わずかの暖かさに有難さを感じる時。

「今朝はさぶかったなぁ」

「ほんとさぶぅなったなぁ」

と、挨拶のやりとりをして、仕事場へ急ぐ。

夕方、一日の仕事を終えて自宅へと向かう。

「日が短こうなったなぁ」

「日が暮れるとさぶいもなぁ」

「今夜はコケ鍋で一杯やるさぁ」

「コケ鍋かええなぁ」

飛騨の山からの贈り物、きのこ鍋である。

その山々の気配も静かな寂しさを感じさせて、やがて綿帽子を覆う準備にかかります。

今年もコロナコロナでくたびれました。何もかもすべてが元の通りという訳にはいかないものの、あとわずかです。元気で頑張りましょう

秋は月 冬雪さえて すずしかりけり